ボールねじは、精度劣化による寿命と疲労破損による寿命があります。
精度劣化は使用条件や潤滑条件、環境等により大幅に変化し、どこまでを寿命とするかは使用目的によって個々に判断しなければなりません。単に寿命といった場合は疲労寿命のことを指します。
ボールねじの寿命を延ばすことで生産性向上・コスト削減といったメリットがあります。
今回は、ボールねじの補正を行い寿命を延ばす方法を紹介いたします。
是非最後までご確認ください。
疲労寿命と基本動定格荷重Ca
一群のボールねじを同じ条件で作動させると、あるバラツキをもって転がり疲労による剥離(はくり)を生じます。全体の90%が剥離を起こすことなく作動できる総回転数を定格疲労寿命といいます。その値は軸方向荷重によって大きく左右され、定格疲労寿命が106(100万)回転になるような軸方向荷重を基本動定格荷重といいCaで表します。
ボールねじの選定の一つの基準となり、カタログの寸法表に記載しています。定格疲労寿命は軸方向荷重および基本動定格荷重と運転条件による荷重係数(1.0~3.0)により算出します。
なお、ボールねじの選定にあたり、寿命を過大に見込むと、それだけボールねじが大きくなり経済的ではありません。参考として寿命の目標値は以下の通りです。
機械 | 時間(H) | 走行距離(km) |
工作機械 | 20,000h~30,000h | 250km~350km |
一般産業機械 | 10,000h~20,000h | 150km~250km |
自動制御装置 | 15,000h | 200km |
計測装置 | 15,000h | 200km |
基本静定格荷重Coa
荷重を受ける軸、およびナットのボール溝接触部と、ボールの永久変形量の和がボール直径の0.01%となる軸方向静止荷重を基本静定格荷重といいCoaで表します。回転数が10min-1以下の場合には、最大軸方向荷重を十分上回る基本静定格荷重Coaにてボールねじを選定してください。
硬さによる基本動定格荷重Ca、基本静定格荷重Coaの補正
一般のボールねじのボール接触部の表面硬度はHRC58~62です。それを下回る表面硬度の場合は、カタログ寸法表の基本動定格荷重Ca、基本静定格荷重Coaに硬さ係数(カタログ14p参照)を掛けて補正してください。
ストローク長さが短い場合の基本動定格荷重Caの補正
ボールねじの基本動定格荷重Caは、軸とナットを総合して決められていますが、一般的に寿命はナットの寿命で決まります。しかし、ストローク長さが短い場合は、軸の寿命も合わせ考慮する必要があります。カタログ寸法表の基本動定格荷重Caに対し、ストローク係数(カタログ14p参照)を掛けて補正してください。
まとめ
今回は、ボールねじの寿命についてまとめてみました。このような内容でお困りのことなどはありませんでしょうか?
当サイトからボールねじの寿命を延ばす方法を詳しくまとめたカタログをダウンロードできますので、是非ご活用ください。
当社では、様々なボールねじの製作・修理実績がございます。
自社製、他社製問わず、ボールねじの修理・製作が可能です。お客様の要望に沿って、最適な方法を提案させていただきます。
ボールねじのことでお困りのことがございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。