技術コラム

2021.10.29

ボールねじの推力とは

推力とは?

推力とは、物体を進行方向へ推し進める力のことを言います。例えば航空機では、プロペラやジェットエンジンで後方に空気を勢いよく噴射することで、その反動力を利用して、機体を動かしています。

ボールねじは、回転運動を直線運動に変換する機械要素です。モーター等でねじ軸を回転させ、ナットを直線方向に動きます。その際に、ナットに推力することで、ナットが直線運動をすることが可能になります。

 

ボールねじとすべりねじの違い

モーター等の回転運動をネジの働きによって直線運動に変換する機械要素を送りねじといいます。

ボールねじは、送りねじの一つです。

送りねじの種類に、ボールねじとは別に、すべりねじというものがあります。

ボールねじは、ナット、ねじ軸、ボールによって構成されています。一方で、すべりねじはナットと、ねじ軸のみで構成されています。

 

ボールねじとすべりねじは、回転運動を直線運動に変換する機能を持つ点で共通していますが、大きく異なる点として、機械効率が挙げられます。

機械効率とはモーター等で得られたエネルギーをどれだけ効率的に推力変換できるかを表す数値です。

ボールねじは非常に機械効率が高く、90%以上あります。そのため、入力したエネルギーの多くを推力に変換することが可能です。

一方で、すべりねじの機械効率は30%程であるため、ボールねじは、すべりねじと比較して効率よく推力を発生させることが可能です。

すべりねじは、ねじ軸とネジ山とナットのねじ溝の接触面が広く、摩擦が大きくなってしまいますが、ボールねじはねじ軸とナットの間をボールが転動するため、接触面が少なく済み、大きな機械効率が実現できます。

 

ボールねじの用途

ボールねじでは、ナットハウジングにテーブルを据え付け、ワークの搬送と位置決めを主な用途としています。

 

ボールねじは、モーターやガイドレールに取り付け利用されます。

ボールねじの特徴として、軸方向のみの負荷荷重しか受けることしかできません。そのため、運搬などで、ワークを据え付ける必要がある場合、ボールねじは垂直荷重やモーメント荷重を受けることができないため、ガイドレールにそれらの荷重を受け持ってもらう必要があります。

また、推力を得るためにモーターから回転運動を得る必要があります。

 

ボールねじは、主に半導体製造装置、産業用ロボット、工作機械の搬送・位置決めに活用されています。

NC旋盤と呼ばれる数値制御によって動く工作機械には、送り機構を構成し精密位置決め精度を得るためにボールねじが使用されています。

現在ボールねじは、食品機器、医療機器などの様々な分野の機械で利用されています。

 

ボールねじの推力と駆動トルクの関係

ボールねじに推力を与えるのに必要となるトルク(駆動トルク)の計算式は以下で求められます。

 

駆動トルクを計算することは、ボールねじの動力源となるモーターの選定に欠かせません。

ボールねじの機械効率と計算方法について、以下のコラムで詳しく解説しています。

>>ボールねじの効率と計算方法

 

ボールねじの製作事例

水門用特注ナット

水門用特注ナット|ボールねじ修理・製作センター.com

水門用のボールねじ製作事例です。型式BS16040-TSB3-4690-4010-C10の特注ナット仕様となります。荷重5000、送り速度40、移動距離4000にて稼働します。全長は 4690mmの長尺で、軸径φ160の大径ボールねじとなります。リード長さは40mm、精度等級C10です。

>>詳しくはこちら

 

大型ターニングセンタ用チューブ式片フランジダブルナット

大型ターニングセンタ用チューブ式片フランジダブルナット

大型ターニングセンタ用のボールねじ製作事例です。型式BS6010-FRRPB3-3647-3031-C3のチューブ式片フランジダブルナット仕様となります。荷重1000、送り速度20、移動距離3000にて稼働します。全長は 3647mmの長尺で、軸径φ60の大径ボールねじとなります。リード長さは10mm、精度等級C3です。

>>詳しくはこちら

>>製品事例一覧

 

ボールねじのことならオージックまで!

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