ボールねじのリードとは
リードとは、 ねじ軸・ナットの一方が1回転したときに、もう一方が軸方向に進む距離のことで、ボールねじが直線運動をする際の一回転の送り量です。ナットを1回転させた場合、元の位置からリードの距離だけ移動します。
ボールねじに於ける「リード」と「ピッチ」の違いについて
ねじが一回転したときに進む距離を「リード」、隣り合うねじ山同士の直線距離を「ピッチ」と呼びます。
一般的なネジはリードとピッチが等しい1条ネジです。一方、リード=ピッチとならないネジを多条ネジと言います。
多条ネジはリードがピッチの整数倍になっており、2倍のものを2条ネジ、3倍のものを3条ネジと呼びます。
例:リード40mmピッチ20mm(2条ネジ)、リード60mmピッチ20mm(3条ネジ)といった具合です。
特にボールねじに於いて多条ネジを使用する目的は、送り速度を上げながら高い荷重を受けたい場合です。デメリットとしては製作コストが高くなることが上げられます。
ボールねじの精度等級
ボールねじの精度等級は、0等級、1等級、3等級、5等級、7等級、10等級に区分され、数字が低いほど精度が高いボールねじです。一般的に、class のCを付けてC0~C10と表記されます。C0、C1、C3、C5の4等級を精密ボールねじ、C7、C10の2等級を一般ボールねじと規定されています。
ボールねじのリード精度
どんなに精密なボールねじでも、リードの誤差は必ず生じます。リードの正確さをリード精度といい、リードの誤差を移動量誤差といいます。許容されるリードの誤差は、ボールねじの精度等級によって決まっています。ボールねじのリード精度は、JISにより、①累積代表リード誤差、②変動(全長)③変動(300mm)、④変動(1回転)の4特性で規定されています。
ボールねじの選定手順
1. 使用条件の検討
ボールねじを選定する際、まず使用条件を検討することから始めます。取り付け状態から、ワークの重量、ストロークなどをここで決定します。
2. ボールねじの使用の決定
次にリードやねじの軸径、ねじの全長などのボールねじの使用について決定します。
3. 安全性の確認
続いて、安全性の確認です。軸方向にかかる荷重がボールねじの対応範囲かどうか、ねじの回転速度が対応速度内かどうか、十分な寿命を確保できているかなどについて確認します。また、潤滑剤の選定や防塵の確認も重要です。
ボールねじの製作事例
マシニングセンタ用チューブ式片フランジシングルナット
マシニングセンタ用のボールねじ製作事例です。型式BS3612-FRPB2-1129-888-C5のチューブ式片フランジシングルナット仕様となります。荷重500、送り速度36、移動距離900にて稼働します。全長は 1129mmの長尺で、軸径φ36の大径ボールねじとなります。リード長さは12mm、精度等級C5です。
射出成形機用チューブ式片フランジシングルナット
射出成型機用のボールねじ製作事例です。型式BS2510-FTB2-244-112-C10のチューブ式片フランジシングルナット仕様となります。荷重50、送り速度10、移動距離50にて稼働します。全長は 244mmの長尺で、軸径φ25の大径ボールねじとなります。リード長さは10mm、精度等級C10です。
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